Hemibrain
HHMI Janelia Research Campus (FlyEM Project Team)
HHMIジャネリア研究所のFlyEMチームが公開した、ショウジョウバエ中心脳の大部分(キノコ体や中心複合体を含む)のシナプスレベル再構成データ。約25,000個のニューロンを数千の細胞型に分類しており、2020年1月にv1.0、同年12月にv1.2がリリースされた。概要論文はeLife誌に掲載され、neuPrintから閲覧できる。
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- janelia.org https://www.janelia.org/project-team/flyem/hemibrain
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NAVis
navis-org (Fly Connectomics group, Cambridge)
ニューロンのスケルトン・メッシュ・dotprops・画像ボリュームを統一的に扱う Python ライブラリ。2D/3D 描画、形態計測、NBLAST による類似度比較、テンプレート脳間の座標変換を備える。ケンブリッジのハエ・コネクトミクス界隈で R の natverse と対をなす形で開発され、neuPrint や(fafbseg 経由で)FlyWire/FAFB と連携する。重い処理は navis-fastcore として Rust 化されている。
fly-protein
Srikar Jy (@srikarjy)
hemibrain の実際の投射ニューロン→ケニヨン細胞の結合から作った茸状体のスパース符号で、少ない測定回数でも高適応度のタンパク質変異を見つけられるかを問い、答えは「できない」。ProteinGym の 10 アッセイ・20 シードを同じ測定予算で比べると、測定 50 回で上位 1% に到達した試行の割合はハエの学習器が 30.5%、進化的探索が 54.5%、素の無作為探索が 40.0% で、同じグラフ上のランダムウォークと同水準だった。アブレーションでは本物の hemibrain の配線はランダム配線よりわずかに悪く、探索上の利点は無い。サイトでは記録した 1 回の実行を 1 手ずつ再生し、重み更新をブラウザで検算できる。
flyconn
@moiz-lakkadkutta
MaleCNS v1.0・FlyWire v630/v783・hemibrain・MANC・BANC を、チェックサム付きのオフラインデータ層ひとつの背後にまとめ、その上に符号付き疎グラフを構築する Python ツールキット。重みの閾値を変えたときの経路安定性という形で不確実性を伝播させ、公開結果と照合済みのクロスプラットフォーム LIF シミュレータを持ち、YAML の仕様から実験を回して出典と引用付きのレポートを出す。対照実験は既定で走る。README は本プロジェクトを pre-alpha と呼び、神経伝達物質の同定は予測であり、シミュレーション出力はすべてモデルの予測だと明言している。
Fly Connectome Research (hemibrain lesion study)
@alok-108
デモではなく損傷実験。Janelia hemibrain から総次数の高い順に取った 1,000 ニューロンの部分網(有向エッジ 113,089 本)を点 LIF ネットワークとして走らせ、ニューロンを削除して動態が何に依存しているかを調べる。ハブの 10% を除くと、刺激していないのに動員されるニューロンが 653 個から 92 個へ落ちるのに対し、倍の数をランダムに削っても平均 299 個が残る。駆動割合・結合強度・時間刻みを振った 157 回の感度解析を伴う。限界の記述は率直で、全シナプスを興奮性として扱うため強結合では活動が発散すること、ハブに偏った標本を一般化してはならないことを述べている。
Insectome (Bug Connectome Project)
theworker02
複数の昆虫コネクトームパック(neuPrint の hemibrain・MANC・視葉、Insect Brain Database のプロジェクトーム)をまとめて扱うローカルのスタジオ。ID の羅列ではなく、シルエットと細胞クラスから辿る。電顕を再セグメントせず公開済みのレベル 0 / レベル 1 グラフを再利用し、生の EM はリモートに置いたまま、ローカルキャッシュは 10 GB を上限にする。共有用の Pages ビルドは、ローカルの 1.7 GB に対しておよそ 23 MB のカタログだけを載せる。掲げる規則には、パックを混ぜて存在しない統合コネクトームを作らないこと、証拠のないシナプス結合を主張しないことが含まれる。
FlyBrain Alphabet Trainings
AscendedStarr
512 ニューロンのスパイキング・キノコ体で、学習対象は Kenyon 細胞から MBON への 13,824 シナプスだけ。三因子ドーパミン則により、手描きの 27 字形を CPU 1 スレッドで 2 分足らず学習し、本から 168,985 文字を一つも間違えずに読み出した。このモデルには数字用の出力細胞が存在しないので、数字での 0/300 は控えめな成績ではなく構造上の保証になっている。v0.2.0 では自作の配線を測定された hemibrain コネクトームに差し替えたが、都合の悪い結果もそのまま載せている。本物の配線と、次数を揃えて相手をシャッフルした対照は3 つの乱数種すべてで 243/243 に並び、対応差はゼロだった。
SIFa Connectome Analysis
szac74
SIFamide の研究に使われたコネクトーム解析を再実行するためのコード。元の解析は neuPrint 上で Cypher クエリと段階的なメッシュ計算を対話的に行ったもので、一本の解析スクリプトは残っていない。そこでクエリの論理・ニューロン ID・絞り込み規則・部位のメタデータをまとめ直し、hemibrain v1.2.1 と male-cns v1.0 に対して論文の数値を再現できる形にしてある。検証スクリプトが主要な合計値を照合し、著者はすべて一致したと報告する。メッシュ間距離はあくまで近接のスクリーニング指標で、それ自体はシナプス結合の証拠ではないと README は明記する。
flydoom (mikeluvnugs)
mikeluvnugs (@mikeluvnugs-gif)
実測の配線に LIF を載せて ViZDoom のシナリオを遊ばせ、「うまく遊べない」ことを結果として出している。20 シードで FlyWire 全脳は 1 エピソードあたり 1.25 キル、hemibrain 版は 1.15、ランダム行動は 1.45、何もしないと 0.00。どちらもランダムに勝てず、2 つのコネクトームの差も見分けられない。生物学ではない部分(ルーミング検出細胞の受容野を配列の添字で割り当てたこと、定数を大きいグラフ用に調整し直していないこと)を列挙し、5 シードで良く見えた設定が 20 シードで元に戻った件など過去の否定的結果も残している。
HouseFly
Vortitron
Home Assistant のダッシュボードに住むハエ。同定済みニューロン 4,724 個を実測のシナプス接続 126,108 本でつないだレートモデルが動き、家の各センサーは「その種類の情報を実際に運んでいるニューロン」に入力される。コネクトームは約 450KB、1 ティックあたり数ミリ秒の numpy だけで GPU は要らない。唯一のルールは「すべての挙動は実測の配線から出るか、さもなければコントローラだと明示する」こと。うまくいかなかった点も検査として記録されている(方位の細胞は旋回に反応するが積分しない、逃避経路に実質的な閾値が無かった、半球分のデータでは方向を持つ逃避が作れない)。
FruitFlyBrain (datasets and projects)
ROHITCRAFTSYT
ログイン不要で手に入る 2 つのコネクトームの上に、実際に動く 8 つのプロジェクトを並べた作業場。hemibrain v1.2 が 21,739 ニューロン・355 万接続・1,430 万シナプス、FlyWire FAFB の注釈が 139,248 ニューロン・8,840 細胞型。中身はグラフ解析、神経伝達物質と細胞型の集計、最短経路による回路追跡、コネクトームで配線したネットワークのシミュレーション、NAVis による 3D 描画、細胞型分類器、ニューロン埋め込み、シナプスのリンク予測で、それぞれが自分の図と CSV を書き出す。いくつかは既知のハエ神経科学と突き合わせる健全性チェックを持ち、出典・ライセンス・チェックサム・引用は datasets フォルダにまとまっている。
fly(コネクトームを触る環境)
seeton
3 つのコネクトームを並べて触るための日本語の作業環境。各データセットが何を含むかの比較表から始まり、脳・視葉・腹神経索がひと続きになっているオスの中枢神経系を主力に、ツールが全対応していて軽いメス脳中心部を練習用に、メス全脳をオスとの比較対照に、と役割を分けている。形態解析・問い合わせ・テンプレート脳の標準ライブラリ一式に加えて、物理エンジン上のハエの体とローカルの Web アプリまで最初から入っており、データ取得スクリプトは既定で 78MB、指定すれば 7.7GB 全部を落とす。
cocoa
flyconnectome
FlyWire、hemibrain、MANC、MaleCNSなどのコネクトームをまたいでニューロンを比較し、共同クラスタリングを行うPythonライブラリ。異なる再構成の細胞型対応を調べるための基盤。READMEのFANC・BANC対応はTODOであり、利用可能な機能には含めていない。
Vaxenfly
vaxenfly
オス中枢神経系のキノコ体から作った、AI エージェント向けの固定の報酬・罰読み出し層。Kenyon 細胞 4,064 個、出力ニューロン 97 個、ドーパミン作動性ニューロン 340 個、KC→MBON のエッジ 61,210 本(シナプス 463,640)を使う。各区画の符号はコネクトーム上の PAM と PPL1 の前シナプス数の比から決まり(誘引 8・忌避 7・符号なし 1)、学習は一切しない。実際の KC→MBON の重みは次数保存シャッフルに対して d' の中央値で 12.8% 上回る。hemibrain で組み直すと自前の閾値の一つが通らず、README はそれを「閾値はデータセット間で移らない」実例として扱っている。
重みは学習するのか、測るのか。ハエの脳が問い直す AI のつくり方
村本 (@1amageek)
「重みは学習するのか、測るのか」という問いから、コネクトーム由来モデルの何が新しいのかを整理した技術記事。規模ではなく出どころが論点で、約 1,500 万の重みはデータから学習したものではなく電子顕微鏡でシナプスを数えて得たもの、人が決めた定数は 0.275mV のスケール一つだけ、という点を軸に据える。よく引かれる 91% は回路応答の予測精度であって行動の再現ではない、と釘を刺し、Lappalainen ら(Nature 2024)と Beiran & Litwin-Kumar(Nat Neurosci 2025)を引いて「配線は機構を制約するが決定はしない」と論じる。電気シナプス・神経修飾・内部状態・可塑性則が欠けていること、DOOMFLY や Fly64 は設計された入出力対応であって自律行動ではないことも明記している。
connectome_interpreter
Yijie Yin, University of Cambridge
配線図を回路機能についての検証可能な仮説に変える Python ライブラリ。約 14 万ニューロンの全脳解析でもノート PC や Colab で動く。ニューロン群どうしの多シナプス的な実効結合を符号ありなしで計算し、始点と終点のあいだの実際の部分回路を取り出して描画し、微分可能なコネクトームモデルも提供する。PyPI から導入でき、プレプリントと Colab ノートブックが付属する。
coconatfly
Gregory Jefferis (natverse)
主要なハエのコネクトームを共通のインターフェースで扱えるようにする R パッケージ。hemibrain・FlyWire・MANC・FANC・BANC・male CNS・male optic lobe に対して、同じ書き方で結合相手の検索や細胞タイプの比較ができる。Jefferis 氏が開発しており、ライフサイクルは実験段階で API が変わる可能性はあるものの、hemibrain と FlyWire の比較では既に実用されている。
connectome_data_prep
Yijie Yin, University of Cambridge
ケンブリッジ大学の Yijie Yin 氏による、公開コネクトームを解析しやすい疎結合行列とメタデータ表に整形するためのノートブック・スクリプト集。flow centrality に基づく軸索・樹状突起の分割処理も含む。対象は成虫の male CNS・BANC・FlyWire/FAFB・hemibrain・MANC に加えて幼虫コネクトームで、Connectome Interpreter で使う経路探索・実効結合解析のベンチマークコードも同梱されている。ライセンスファイルは未設定。
Fly Connectome Data Tutorial (SJCABS)
SJCABS winter school (Sven Dorkenwald & Alexander Bates)
サンフアン冬季スクール(Connectomics and Brain Simulation)向けに Sven Dorkenwald と Alexander Bates が作成した教材。データ読み込みから形態解析、直接・間接結合の解析まで、Python と R の両方で段階的に学べる。BANC・FAFB・male CNS・MANC・hemibrain のメタデータを共通スキーマに揃え、公開クラウドバケットで配布しているため、同じノートブックを 5 つのデータセットで使い回せる点が特徴。
natverse / nat
Jefferis lab, MRC LMB
3D 神経解剖データの読み込み・可視化・解析・書き出しを行う、相互運用可能な R パッケージ群。tidyverse をモデルにしており、中核の nat(NeuroAnatomy Toolbox)は Jefferis 研が 2014 年から GitHub で保守している。neuprintr や fafbseg といった周辺パッケージにより hemibrain や FlyWire/FAFB に R からアクセスできる。2020 年に eLife で論文化された。
neuPrint
Janelia FlyEM (HHMI)
Janelia FlyEM チームが運営するコネクトーム解析基盤。Neo4j 上のグラフデータベースに、Web 上で探索できる neuPrintExplorer と HTTP API を組み合わせたもので、ニューロン間の結合をクエリで調べられる。hemibrain・MANC・male CNS の公式配布元であり、2022 年に Frontiers in Neuroinformatics で論文化された。
neuprint-python
Janelia FlyEM (HHMI)
neuPrint 公式の Python クライアント。Cypher を直接書かなくても、Janelia のコネクトームデータベースからニューロンのメタデータや結合表、スケルトンを pandas に取り込める。2020 年 1 月に PyPI で初公開され、2026 年 7 月の 0.6.3 まで継続的に更新されている。pip・conda・pixi のいずれでも導入できる。
Virtual Fly Brain
Virtual Fly Brain consortium (UK institutions incl. MRC HGU)
ニューロン画像・遺伝子発現パターン・コネクトームを標準脳テンプレート上に統合し、解剖学オントロジーで結びつけて横断検索できる Web アトラス。英国の研究資金で 2009 年から運営され、現在は 60 万件超の 3D 画像と約 49 万個の結合情報付きニューロンを収載し、hemibrain・FlyWire・FANC・幼虫 L1EM などをカバーする。v2 フロントエンド(geppetto-vfb)は Geppetto を MIT ライセンスでカスタマイズしたもの。
Wikipedia: Drosophila connectome
Wikipedia (Wikimedia Foundation)
ショウジョウバエのコネクトミクスを一望できるWikipediaの記事。なぜショウジョウバエがモデル生物に選ばれるのかから始まり、3,016ニューロンの幼虫脳、成体のhemibrain、FlyWire、FANC・MANCの神経索、2025年のBANCやオス中枢神経系の全体再構成まで主要データセットを順に解説し、配線構造と行動の関係にも触れている。本文はCC BY-SA 4.0、最終更新は2026年8月11日。


