ショウジョウバエ / 脳のアトラス

スクロールで、ハエを別の角度から。
模式モデル · 実測データではありません

小さな脳から、広がる可能性。

小さな脳に、広大な探究の世界。

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ツール・ライブラリ

flybench

brandoncho369

デモのブームがおおむね飛ばしてきた問い、すなわち「そのシミュレーションのハエは、実際のハエが行うと分かっている振る舞いを今も示すのか」を測るための反射ベンチマーク。文献引用付きの行動課題群、参照実装の leaky integrate-and-fire シミュレータ、採点用ハーネスを備え、任意のモデルパラメータ設定に比較可能な数値を与える。「Minecraft や Doom のデモはどれもシナプス重み・全体ゲイン・抑制の扱いを推測で決め、それらしく見えるまで手で調整するしかなかった」という問題意識を明示している。

デモ・ゲーム

NeuroCraft Fly

Evan Sinclair Smith (@evnsnclr), Georgia Institute of Technology

MaleCNS グラフ全体(16万6,700ニューロン・2,558万2,938本の有向結合)でマインクラフト内のハエを動かすプロジェクト。プレイヤーの接近・周囲の mob・ブラッシング・攻撃・食べ物・光という宣言済みの 6 入力をモデルに流し、選んだ読み出しがスクリプト化された身体動作を選択する。リポジトリは現時点で紹介ページとロードマップのみで、録画デモは存在するが Fabric MOD と実装コードは未公開。README は「対応付けを可視化・検証可能にしたもので、ハエの生理を再現したものではない」と明言している。

データセット・コネクトーム

BANC (Brain And Nerve Cord)

Harvard Medical School (Lee & Wilson labs), Princeton University (Murthy lab), Harvard (Drugowitsch lab)

ハーバード医学部のLee研・Wilson研とプリンストン大学Murthy研などが中心となり、成体メスのショウジョウバエ1個体を4nm解像度の連続切片EMで撮像し、脳と腹部神経索を同じ個体でひとつながりにシナプス解像度で再構成したコネクトーム(同一個体で両方を扱うのはこれが初)。READMEによると約188,000ニューロン・約1億9,900万の予測シナプスを含み、解析コード(主にR)とデータはいずれもCC BY 4.0で公開。論文は2026年にNature誌にオープンアクセスで掲載された。

CC-BY-4.0★ 13
デモ・ゲーム

DesktopFly

DenisSergeevitch

macOS のデスクトップ上を歩き回る 3D ショウジョウバエ(Windows 向け Electron 移植版あり)。FlyWire 由来の 668 ニューロン回路(感覚・逃避・意思決定)と、MaleCNS 由来の 1,045 ニューロン回路(下行ニューロンから 220 個の脚運動ニューロンまで)を 1 kHz の LIF モデルで動かして行動を決める。ウィンドウの縁を地形、ウィンドウ移動を脅威、クリックを振動として知覚し、別ウィンドウで 23,210 ニューロンの発火をリアルタイム表示する。筋肉の力学は生物学的に較正されていないモデルであることを README で明記。コードは MIT、FlyWire データは CC BY-NC 4.0、MaleCNS は CC BY 4.0。

デモ・ゲーム

DOOMFLY

nftechie (Alex Wormuth)

MaleCNS v1.0 のスパイキングシミュレーションを Doom のアリーナにつないだ実験。各フレームが視覚入力ニューロンを刺激し、166,700 ニューロンを信号が伝播して、運動出力を移動と射撃に変換する。README は「学習による生存はまだ実証していない」と明記している。

シミュレーション

Eon fly-brain

Eon Systems PBC

Eon Systems が公開した、Shiu らの Nature 2024 論文に基づく漏れ積分発火型の全脳モデルの再実装。FlyWire v783 の約 13.8 万ニューロンと約 500 万シナプスを対象に、Brian2(CPU/CUDA)・PyTorch・NEST GPU・GeNN の各バックエンドで動かせ、任意の集団を刺激・抑制して活動の伝播を観察できる。2026 年 3 月 10 日の同社アップデートでは、この脳を MuJoCo 上の NeuroMechFly v2 の身体と結合し、グルーミングや摂食・採餌といった行動が閉ループから生じたと報告しており、同社はこれを「初の身体化されたハエのアップロード」と呼んでいる。

デモ・ゲーム

Fly Brain Minecraft

blendi-remade

Minecraft 1.21.1 向けの Fabric MOD。neuPrint の male-cns v1.0 コネクトーム(約17.6万ニューロン、シナプス5個以上の結合629万本)を LIF ニューロンとしてハエ Mob の中で丸ごと動かす(ハエ1匹につき1スレッド)。ゲーム内の視覚・嗅覚・味覚・接触刺激を感覚ニューロンに入力し、復号した運動出力で摂食・グルーミング・逃避ジャンプ・歩行・飛行を制御する。脳活動のライブ表示や発火率 HUD、56 本の JUnit テストを備え、コードは MIT、データは CC BY 4.0。

身体モデル・物理

flybody

Google DeepMind / HHMI Janelia (Turaga Lab)

MuJoCo 物理エンジン向けの解剖学的に精密なショウジョウバエの身体モデル。脚・翅の関節、脚の吸着、歩行模倣・自由飛行・視覚誘導飛行の強化学習タスクが同梱される。2025 年に Nature に掲載され、Apache-2.0 で公開。

Apache-2.0★ 929
データセット・コネクトーム

FlyWire (FAFB v783)

Princeton University (Murthy & Seung labs) with the FlyWire consortium

プリンストン大学が主導し、成体メスのショウジョウバエ全脳をFAFB電子顕微鏡画像からAIで再構成し、世界中の研究者による校正で仕上げたコネクトーム。v783にはCodex上で139,255個の校正済みニューロンと数千万のシナプス(神経伝達物質予測付き)が収録され、2024年にNature誌で主要論文が公開された。

CC-BY-NC-4.0
データセット・コネクトーム

Larval Drosophila Brain Connectome (Winding et al. 2023)

University of Cambridge (Michael Winding et al.)

Michael Winding(ケンブリッジ大学)を筆頭とする研究チームが2023年3月にScience誌で発表した、昆虫の脳全体を対象とする完全なシナプス配線図。1齢幼虫のショウジョウバエ脳を対象に3,016ニューロン・約548,000シナプスを再構成し、多感覚統合や左右半球間の連絡、再帰的な回路構造が広く見られることを示した。

CC-BY-4.0
データセット・コネクトーム

MaleCNS v1.0

HHMI Janelia FlyEM / University of Cambridge / MRC LMB / Google Research

オスのショウジョウバエ成虫の脳・視葉・腹側神経索をまとめた中枢神経系の全配線図。16万以上のニューロンを含み、CC-BYで利用できる。v1.0データ公開は2026-06-08、Cell論文公開は2026-09-03で、データの版公開と論文の発表は別の出来事。

CC-BY-4.0
ツール・ライブラリ

NAVis

navis-org (Fly Connectomics group, Cambridge)

ニューロンのスケルトン・メッシュ・dotprops・画像ボリュームを統一的に扱う Python ライブラリ。2D/3D 描画、形態計測、NBLAST による類似度比較、テンプレート脳間の座標変換を備える。ケンブリッジのハエ・コネクトミクス界隈で R の natverse と対をなす形で開発され、neuPrint や(fafbseg 経由で)FlyWire/FAFB と連携する。重い処理は navis-fastcore として Rust 化されている。

身体モデル・物理

NeuroMechFly / FlyGym

Neuroengineering Laboratory (NeLy), EPFL

EPFL の Neuroengineering Laboratory(NeLy)が開発する成虫ショウジョウバエのデジタルツイン。マイクロ CT から起こした身体モデルを MuJoCo 上で動かし、複眼視覚・嗅覚・脚の吸着・機械感覚フィードバック、脳と VNC の階層的制御を備える。NeuroMechFly v2 は 2024 年 11 月に Nature Methods で発表され、2026 年 4 月公開の FlyGym 2.0 では CPU で約 10 倍、Warp/MJWarp を使う GPU で約 300 倍の高速化を実現した。Eon や Rojas の身体化全脳シミュレーションでも身体側として採用されている。

Apache-2.0★ 365

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デモ・ゲーム

Fly Brain Tetris

alexeygrigorev (@alexeygrigorev)

ブラウザのブロックゲーム機のボタンをハエが押し、別の画面に FAFB v783 コネクトームから導いた簡略な線形モデルの応答が出る。学習するのは 32 チャネルの読み出しだけで、交差エントロピー最適化(24 世代・候補 64・1 候補あたり 4 ゲーム・エリート 10)で合わせ、コンパイルした 32×6 の変換は固定したまま。変換行列・その擬逆行列・入出力ニューロンの ID・グラフの出どころは JSON として同梱し、SHA-256 で固定する。概要の最後が誠実で、これは設計した盤面特徴の上の人工的な方策であり、生物のハエの模擬でも、視覚や脚の制御を示したものでもない、と作者自身が書いている。

シミュレーション

fly-distill

michelangeloromerochisco (@michelangeloromerochisco)

Winding ら 2023 の幼虫コネクトーム(2,952 ニューロン、3 シナプス以上で 38,401 辺)を凍結した再帰層として使い、バイト単位の言語モデルを学習させる対照実験。次数を保ったシャッフル、Erdős–Rényi グラフ、重みの消去、ハブに上限を設けた条件と並べて比べる。判定規則はデータを見る前に書き、4 シードを 150M バイトまで回し、全体で約 277 GPU 時間を 4 GB のノート PC の GPU 1 枚に収めている。同梱論文の題がそのまま結論で、この規模ではハブの集中が生物的な配線の利点を覆い隠す。

シミュレーション

Fly Garden

carsonshicks2016-beep (@carsonshicks2016-beep)

全脳 FlyWire v783(138,639 ニューロン・54,492,922 シナプス、しきい値も縮約も無し)を Brian2 で回し、NeuroMechFly 2.1 の身体(物理ステップ 100 µs)に載せた、1 匹のハエが住み続けるローカル 3D 実験室。読む価値は境界の節にある。匂いに導かれた行動選択は未確立、歩容生成器と逃避反射は作り物、視覚の脅威入力は網膜回路ではなく幾何特徴、行動の学習は示せていないと明記する。段階別の報告には全脳 60 試行と物理対照 40 試行があり、遠ざかる動きの基準は不合格、選んだ DNp09 は無発火で、次の段階を自ら止めている。

デモ・ゲーム

Fly Poker

EvanGruhlkey (@EvanGruhlkey)

全画面のカジノでハエと 1 対 1 のノーリミット・ホールデム。双方 100BB 持ち、ブラインドは 0.5/1、スタックはハンド間で引き継ぎ、ボタンは交互に移る。相手はチェックサムで固定した FlyWire グラフから作ったネットワークで、借りた L4 上でまずエクイティ教師を真似させ、次に自己対戦で訓練し、ブラウザのワーカーでローカルに走る。データの扱いが丁寧で、生のコネクトーム表と学習済み重みは git に入れず、FlyWire の条件(CC BY-NC 4.0)を MIT の参照コードとは別物として明記し、MaleCNS のマニフェストはチェックサムが未解決なので検証済みデータセットとして扱うなと断っている。

シミュレーション

FlyBrainLab (Agentic Scientific Discovery)

JonasMayerDev (@JonasMayerDev)

Databricks の課題「Agentic Scientific Discovery」(2026 年 10 月、ミュンヘン)のハッカソン作で、実験の輪を LLM エージェント群に任せる。下行ニューロン DNg02 を標的に、シード 42〜44 で sham・刺激・切断の 3 条件を、FAFB FlyWire v783 の全グラフ(138,639 ニューロン、15,091,983 接続行)と固定した Shiu ら のコードで Brian2 上に流し、結果を一次文献と突き合わせ、返ってきた結果から次の試験を選ぶ。パラメータと標的は事前に封印。README は運動アダプタが仮定であることと、検証した 200 ms の窓では既存の RL ポリシーが身体を支えており、コネクトームだけによる飛行は示せていないことを明言する。

シミュレーション

Synaptera

omeruk (@omeruk)

FlyWire v783 コネクトーム(138,639 ニューロン・54,492,922 シナプス、Brian2)の全脳 LIF モデルを NeuroMechFly/FlyGym の MuJoCo 身体と閉ループでつなぎ、離陸・塔の通過・着地・摂食の課題を、判定される実行より前にリポジトリへ固定した基準で採点する。結論は控えめで、コネクトーム由来と言える行動判断は摂食だけ(MN9 が 10 Hz 超)。しかもその引き金は自作の近道で、配線から選んだ脚の糖受容ニューロンでは MN9 が 0 Hz のままだった。操舵・高度・着地・頭部反射は手書き。DNp15 の読み出しは自前の検証に落ち、DNg02 は一度も発火せず、脳だけの条件はどれも着地できなかった。

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